「郁くん!!」
立ち上がった真妃は俺に向かって走って来た
そして、そのままの勢いで抱き付いてきた
「…帰れないかと思った」
気付けば夕方
日も傾いて来ていた
暗くなっていく風景に不安になったんだろう
でも、どんなに暗くなったって大丈夫
「大丈夫だよ。絶対見つけるから」
真妃の体を少しだけ抱きしめ返して離す
本当は、もう少し抱き合ってても良かったんだけど…
田中も佐々木さんも居るしね…
「本当に見つけた…凄いな、イっくんの鼻」
「ってゆうか…真妃ちゃんの迷子のレベルが凄い」
二人のコメントに、真妃がやっと二人の存在に気付いた
「サキちゃん?田中くん?」
「うん、2人も真妃の心配してた」
「え?!ごめんね?なんか心配かけちゃって…」
あわあわと慌て出す真妃
でも、すぐに笑って言った
「心配してくれてありがとう。郁くんも、見つけてくれてありがとう」