すると仕返しにお弁当のウィンナーを奪われてしまった。


私の貴重な食糧が……。



「お前の取り柄もう一つあったわ。 料理。 性格に似合わず料理の腕はすげーよな。」

「ちょっとそれ褒めてんの? けなしてんの?」

「あはは、樹希君と葵(あおい)ちゃんってば本当にいいコンビだよね。」



高校の入学式前日、両親が事故で他界した。


みんなよりも一週間遅れての登校で、クラスの中は既にグループが出来てしまっていた。


暫く一人かな……と覚悟した時、華が話しかけてくれた。


あれから早いもので一年が過ぎた。


私が入学した鳳(おおとり)学園は偏差値が高くて倍率も凄いから入学するのも大変だけど、元々無理をして受験した為二年生に進級するのも私の成績ではギリギリだった。


一年の時は環境に慣れるのも大変でバイトは全然できなかった。


鳳学園の学費は高いし、バイトをしないと両親の残してくれた保険金だけではきっとお金が尽きてしまう。


だから一年の冬休みから家の近くのコンビニで本格的にバイトを始めた。


生活の事もあるから、ほぼ毎日シフトに入れてもらっている。