君を想う【実話】



「そんな顔すんなよ。ほんとのデートは、これからだっつーの」


瑠奈の異変に気付いたのか、智也は笑いながら、瑠奈の頭を撫でた



二人は再び、車に乗り込む



笑顔でいたいのに、智也の横顔を見るたび、胸が締め付けられる



「なぁ、瑠奈」


「..ん?」


智也は、ミラー越しに瑠奈を見つめた



「お前、ちゃんと約束守れてんのか?」



その言葉に、ミラー越しに見つめあった視線を、瑠奈は外へとうつした




きっと智也は、別れてからの瑠奈のこと



全部、知っている..



それでも、瑠奈を責めるわけでもなく、とても優しく問いかけた




でも、瑠奈は何も答えなかった




答えられなかった..




ふと、外の景色を眺めると、瑠奈はあることに気が付いた



「ここって..」


「..そうだよ」


車が止まり、智也が外へとおりる


瑠奈も智也に続くように、車からおりた



「まだ一年もたってねぇのに、すげぇ懐かしく感じんな..」



そう言った智也の横顔は



すごく、切なかった..



その隣で、自然と涙が流れそうになるのを、瑠奈は必死に堪えていた