ジリリリッ―





けたたましい目覚ましの音で、目が覚めた



「まだ六時じゃん..」


そう呟いて、もう一度、目を閉じる


「やべ..目覚まし、いつものままだった」


智也も独り言のようにそう呟いて、目覚ましを止めた


「わりぃな、起こしたか?」


智也の声が、すぐ横で聞こえる



胸がドキッと高鳴った



「なんだ、寝てんのか..」


起きるタイミングを逃してしまった瑠奈は、寝たフリを続ける




その時




暖かい感覚が瑠奈の頬を包んだ




それが智也の手だとわかるのに、そう時間はかからなかった





「ごめんな..」





その声と共に、智也の去り行く足音が聞こえた




智也が階段をおりる音を聞きながら



瑠奈は静かに涙を流した





やっぱり、わかってたんだね





下手な芝居なんかしちゃって..






全てわかった上での




最後のデート






それなら、瑠奈は





精一杯楽しむから..






智也の好きだって言ってくれた






笑顔でいるから―..