ブォーンッ―





静かな部屋の壁に、背中を預けて耳を澄ました



もうすぐ、智也がくる



3..2..1..





ピンポーンッ―





いつもはこうやって、胸を弾ませながら、智也がくるのを待っていた



なのに、今日は重い体を起こして智也の元に向かう



瑠奈は長袖を着て、手首を隠した



「智也、お疲れ!」


智也に飛び付き、笑顔をつくる


「おぅ!これ、姉ちゃんから」


智也は片手に持った白い箱を、瑠奈の前にチラつかせて微笑んだ


「わぁーいっ!ありがと!美嘉ちゃんにメールいれとくね!」


大好きなお店のケーキを受け取って、瑠奈は無理にはしゃいでみせる


自分が自分じゃないような、見事な演技


これなら平気だ、そう思いながら作り笑顔をみせていた


二人は、手を繋いで部屋に向かう



「早くお盆休みになんねぇーかな」


ソファに体を預けて、智也はタバコに火をつける


「..三年だね」


瑠奈は智也の隣に座って、独り言のように呟いた



智也と出会ってから、ちょうど三年目



短いような長いような..



本当に、色々なことがあった三年間