「海斗..」
綺麗に手入れされた敷地
真新しい、幾つもの花束
みんながよく来ているのが一目でわかる
「海斗、遅くなってごめんね..」
瑠奈は買ってきた花束をお墓の横に添えた
「会いたかった..」
海斗が中にいる、石だたみにそっと触れる
瑠奈の涙が石だたみに無数の円を描く
涙を拭い、お線香に火をつけようと顔を上げた瞬間
持っていたお線香が小さく音をたてて地面に落ちた
「..かぃ..っ」
涙が止まらなかった
お墓の横に飾られている写真
花火をバックに、瑠奈の肩を海斗が抱いている
幸せそうに笑う写真の中の二人..
「海斗..」
何度も海斗の名前を呼ぶ
チャリンッ―
首元で、音をたてて重なりあうペアリング
ハッとして振り返った
「瑠奈..」
その姿に生唾を飲む
海斗..?
太陽の光で、顔が見えない
かろうじて見える口元には、あの八重歯
一歩ずつ瑠奈に歩み寄る
