二人の似顔絵を描いてもらい、瑠奈はご機嫌


そんな瑠奈を拓磨はデジカメで撮る



たくさんの思い出を残すため―



今思えば、不思議なほど




まるで、未来が見えていたように―..











時間になり、クルージングが出航する



「うわぁー」


どんどん日が沈んでいく中、街のネオンがまるで宝石のように光る


海の波は、船の光をあびてキラキラと輝く



二人は、バイキングもそこそこに船の後方で、肩を並べ景色を見ていた



「俺、瑠奈に会えて本当によかった」


静かな波の音に、拓磨の声が重なる


「目、つむれ」


その言葉に、瑠奈は言われた通り目をつむる



握られた手に、何かが指を通る感覚



瑠奈が目を開けると、左手の薬指には輝くもの



「一生、俺のそばにいてください」



拓磨は、瑠奈の目を見つめて少し微笑む



「..はい」



嬉しくて、言葉より先に、拓磨に抱きついた



瑠奈の目に滲む幸せな涙



二人の唇が自然と重なる








こんな幸せな日が―






最後の家族旅行になるなんて






わかっていたなら―..