とても悲しい目..
だけど優しい眼差し
瑠奈を見ているようで、瑠奈を見てない
「平気?」
拓磨はその声に驚き、いつもの表情に戻る
昨日見た拓磨の悲しい目は、見間違いなんかじゃなかった
「なんだって?」
「明日にでも送るって」
普通に振る舞う拓磨
そのことには触れないことにした
拓磨と瑠奈の間に、お互いの過去を話す必要はない
それが、心地良かったのかもしれない
友達でもない、恋人でもない
そんな関係に安心してるのは、きっと瑠奈だけじゃないから―..
「明日、仕事だから六時に起こして」
拓磨はそう言って、新しいソファーベッドを二つ並べた
一つずつに、二人は寝転がる
拓磨の寝息が聞こえてきたが、瑠奈は中々寝つけない
ベランダに出て、星を見上げる
智也、仕事がんばってるかな..
瞬間、流れ星が光った
瑠奈は急いで流れ星に向かって手をあわせる
智也が幸せになりますように―
無意識に願った願い事に、軽く笑いがこぼれる
前に進むのは、まだまだだな..