「るぅ〜、一緒に飯いこ?」


たまに学校にくると、必ず尚輝は瑠奈の元にきてくれた


静がいない時は、さり気なくお昼を誘ってくれる



でも、あれから智也のことには触れてこない



それが尚輝の優しさであって、瑠奈にも心地よかった



この学校で話す人なんて智也がいなくなった今じゃ、尚輝と静と健一と亮介達くらい



見た目だけで流れる噂、健一と智也のことで流れる噂、こうして尚輝といることで流れる噂



別に気にしてないけど、教員からの明らかな態度差別にも嫌気がさしていた



「ねぇ、尚輝は学校辞めたいと思ったことある?」


瑠奈の唐突な発言に尚輝はご飯を食べていた箸をとめる


「そりゃーあるよ。ツレはほとんど残ってねぇしさ。でも俺、夢があるから」


「夢?」


瑠奈の中には存在しない言葉で、思わず聞き返してしまった


「そ。俺、美容師になりてぇの。高校の資格は、あったほうがいいからさ」


そう言って、少し照れたように笑う


そういえば尚輝の髪型はよく変わる


瑠奈は一人で納得した




夢がある人は輝いてる




尚輝の笑顔を見て、本当にそうだと思った