「海斗..ほんとにありがとう..っ」
抱き合い、二人とも声を押し殺して泣いた
海斗の涙を初めて見た..
泣き疲れ、二人はそのまま寄り添い眠りにつく
‥
目を覚ましたのは、もう夜に近かった
「俺、少し出てくから..荷物まとめとけよ」
海斗の手が、撫でていた瑠奈の頭から離れる
「..最後に、キスしていいか?」
瑠奈が頷くと、二人の唇が重なった
出会った頃から変わらない、優しいキス..
「じゃぁな」
大好きだった笑顔
「うん」
瑠奈も海斗が好きだと言ってくれた笑顔で見送る
出ていく海斗の後ろ姿を見つめていた
しばらくすると外から、エンジン音が響く
「ばいばい..」
どんどん小さくなるその音が、聞こえなくなるまで耳を澄ました
少しずつ荷物をまとめる
こんなにあったんだ..
思い出の品を見る度に、その時の幸せな時間が頭を駆け巡る
ガチャッ―
部屋のドアが開き、驚いて振り返る
そこには、お兄ちゃんが立っていた