家に帰ると海斗が待っていた


「携帯くらい持ってけよ」


不機嫌な海斗


瑠奈を見ようともしない


「ごめん..急いでたから忘れちゃった」


携帯なんて、今まで気付きもしなかかった



「..そんなに会いたかったのか?」



海斗の手には、瑠奈の携帯が握られている


智也への発信履歴を見たのだろう..


「ごめんなさい..」


「なんでだよっ!」


海斗の怒鳴り声が響く


「なんで..」


とても悲しい声だった..


「ごめんなさい..」


海斗はうつ向いたまま


「..瑠奈、智也のことが―」


「それ以上は、言うな..」


瑠奈の言葉を渡った



二人の視線がぶつかる



「..俺のこと、好きだったか?..」



海斗の優しい声



「ほんとに..ほんとに大好きだった..」



瑠奈の頬を一筋の涙が伝う



「..怒鳴ってごめんな。それだけで十分だよ」



海斗の指が涙を拭う



「瑠奈..ほんとに愛してた。瑠奈を好きな気持ちは、一生変わらねぇから..絶対、幸せになれよ」



そう言うと、海斗は瑠奈を強く抱き締めた