誰かの望みを叶えてあげられるほど、私は優しくない。



「 ごめんね、無理かな… 」

「 え… 諦め早っ ま、いいや。無難にゲーセン行きますか~ 」

「 ゲーセンね、いいよ 」



幸斗が何を望でいたかはわからない。

諦めが早いと言われて 仕方ないと勝手に納得もした。

ゲーセンで幸斗が楽しそうにしているのを、内心、何が楽しいかわからないと思っていた。



「 佑衣さん、今 楽しまないと やっぱりつまんないよ! なんでもね 」



幸斗くん…

もしかして私より大人?



一通り楽しんでフードコートへ向かったのは約束より10分早め。



「 幸斗くん、ありがとね 」

「 お、何、佑衣さん 俺に気持ち揺れだした?」

「 ううん、全然。だだ、ありがとね 」

「 ふぅん… いいよ、俺も ありがとね。じゃ、はい どーぞ 」



ん? なに、その広げた腕は…



「 なぁに?」

「 ぎゅってしたいかと… 」

「 しない!」



まったくもう!!



何に対しての ありがとうかは 自分でも定かでない。

ただ、素直に出た言葉。


そんな私を幸斗はニコニコしながら見てた。



「 お二人さん、お待たせ~ 」


「 佑衣さん、またね!」

「 うん、またね 」



紗凪が来て、幸斗が去る。

私はダイヤのついた耳が気になって仕方なかった。

それでも、はずす気には不思議とならなかった。



「 楽しかった?」

「 たぶん… ね 」



右京様となら、きっと… もっと…