日常に戻った私には記憶はない。

職場である遊園地、主任から呼び出された私は哲平に声をかける。



「 お疲れ、哲平 」

「 佑衣ちゃんも お疲れ 」

「 主任から呼び出されたよ、行こ 」



二人で事務所に向かいながら 亜須美から聞いた話をしたが、哲平は嘘っぽいと信じなかった。



「 石倉、里井、今日は大仕事がある! 最低人数の俺たちでミッションを遂行する! なんと、有名人様が来るっ 」

「 え? ミッションって… 有名人って誰? 」

「 主任、有名人が来るって お忍びデートでは?」

「 なんでお忍びデートだ? 」



え、違うの?



私と哲平は顔を見合わせ首を傾げた。

その最中、事務所の電話が鳴り対話する。



「 …はい、はい、ええ 問題ございません。私を含め3人だけですので… はい、お迎えに上がります 」



一瞬 緊張が走った。

この遊園地に まさかの有名人が来る。

鏡を見つめる主任は身だしなみをチェック中。

私と哲平は ヒソヒソ話す。




「 佑衣ちゃん、不思議じゃないか? 数ある有名なテーマパークより劣る この 遊園地に来るなんて… 」

「 うん、確かに… 遊園地とはいえ、規模が小さいほうだもんね 」




有名な芸能人が ここを選ぶわけないか…