右京が佑衣の前に来た時、佑衣はまだ話ながら嬉しそうにしていた。

そのまま… 右京を見ないまま…

右京と中村の前で消えていった。



「 佑衣… 」



間に合わなかったか… クソッ…



「 …う、うう、嘘っ！？ 消えたっ 佑衣さんが… 」

「 落ち着けって… 中村、佑衣を いじめてないな？」

「 いじめてない！ 初めは佑衣さんを警戒していたけど… でも なぜだか親近感がね、だから普通に話してたから 」

「 …それなら いい。で、何か聞き出した？ 職業とか、何か 」



そう言われて、中村が思い返すのは自分の話と右京の話を一方的にしていた事。

バツが悪い中村は苦笑した。



「 中村～！！ １日一緒にいて 何もかよ！信じらんねぇ 」

「 悪かったわねっ あ、でも… 」

「 でも なんだよ 」

「 同じ鉢花を持ってるみたいよ？ それに、私みたいな上司なら良かったって、ウサギにならずにすむのにって… 」

「 ……同じ花を？ ウサギ… よくわからんが 中村、探せ！」

「 え、ええ！？ あんたほんとにっ… 」



怒る中村に、尾川から電話が入る。

尾川の撮影での話を聞いて右京を睨む。



「 右京… あんた、彩月とのキスシーンをやらなかったって どういう事よーっ！！」

「 洸に言え、洸に 」

「 監督が夜のシーンでやれって！ やんなさいよ、俳優でしょ！！ 少し出るけど、冷蔵庫に果物あるから食べなさいよね 」



中村が怒りながら出て、右京は一人ソファに座る。



佑衣、お前 熱は…

ウサギにならずにすむって、どういう意味だ？