『ドラマ仕立てでお願いします』

右京様の顔が… ち、近いっ…



キラキラ夜に輝くメリーゴーランド。

そんな中、膝に肘をつくようにして前屈みな右京。

跳ねた心臓が耳に響く。




ど… どど、どうしようっ…


顔が見える… 近い… 息がかかりそう!


息止める? 止めちゃう?



そんな私とは裏腹に、スッと背を伸ばした右京が ゆったりと長い足を組んで座り直し、回る景色を見ている。




は~…… 息が出来る。

それにしても、なんで一人で遊園地なんだろ…

しかも夜に…



メリーゴーランドがゆっくり止まりだした。

右京より先に立ち上がった私、止まるのを待ち降りるが、右京が来ない。


哲平が首を傾げ、私は右京のそばに行き覗いて声をかける。




「 あの、止まりましたよ?」




黙って立ち上がり馬車から出た右京はスタスタ歩いて行ってしまう。


一人きりには出来ないため、右京の後ろにピッタリくっつく。


そうして歩いて、結局右京は入り口に戻ってきた。



帰るの?

メリーゴーランドが気に入らなかった?

夜のメリーゴーランドなんてステキなのに…

普通 乗れないし。



右京が急にピタリと止まって、私と哲平に向き直った。



「 あの、楽しめました?」

「 ……全然 」



え… そうなの?

楽しくなかったんだ…


まぁ、一人でメリーゴーランドはねぇ…

私もいたけど。