私は無意識に両手を握りしめていた。 どうか、お願い。 勝利の女神よ、微笑んで。 ーーカキーン! 打たれた音にハッとする。 「ファール」 その審判の声で、ホッと安堵した。 よかった。ホームランかと思っちゃった。 千夜は深く帽子を被った。 千夜の視線が一瞬、こちらを向いた気がした。 まさかね。大事なこの場面で、こっちを向くなんてありえないよね。 でも.....千夜の視線を確かに感じたんだ。熱を帯びた視線を。