「準備はいいか!?」
顧問の先生が大きな声で皆に言う。

ベンチには緊張しながら、ユニフォームに身を包んだ選手が。
レギュラーの人全員が、鼓膜が破れるほどの声で返事をした。

負けたら終わりの大事な決勝戦。
マネージャーの私達も、自然と気合いが入る。

千夜は、1年生ながら最初から投げる。さすが、1年生の中で唯一のレギュラーだ。

「千夜、頑張ってね」

グローブを手にした千夜に、私は声をかける。

「おう」
千夜の目は、どこまでも真っ直ぐだった。何の恐れを無い、凛とした眼差し。

見ただけで、緊張していないことがわかる。