「練習再開するぞー!」
顧問の先生の声がまた聞こえ、部員がグラウンドへ走っていく。

私は目をゆっくりと開いていく。
だんだんと視界に入ってくる光が眩しい。

灰色の線の上、私達は走っていこう。
この空の下なら、皆と一緒なら、間違いも怖くない。

「何ボーッとしてるの。手伝ってよ」

ツンとした態度の梨花ちゃんに、私は「ごめんごめん」と言いながら、仕事を始めた。

試合が近い。マネージャーの仕事も大変になるだろう。でも1人じゃないから、頑張れる。

もう嫌な予感もざわめきも胸に残っていないことに未だ気づかない私は、部活日和の放課後の時間を抱きしめた。