『あ、でも、部員や先生が見える前はちゃんとやるから。そうしないと印象下がっちゃうしね〜』 そう言うと、稲森さんは私を置いて、さっさと前へ歩きだした。 私は何も言い返すことができず、震える足でなんとか踏ん張っていた。 このままじゃダメなのに、どうして何も言えないんだろう。恐怖心に打ち勝たなくちゃいけないのに。 ふと見上げた空は、雲に覆われていて、なんだか寂しそうだった。 私は小さく深呼吸をしてから、再び歩き出した。稲森さんへの恐怖心を、なんとか隠しながら。