この声.....! 聞き間違えはずがない。 それくらい、この声は私の耳に残っている。もう二度と聞きたくなかったあの声が、鮮明に。 私より少し低めの、すっきりとした声。 私はーーこの声が嫌いだ。 今も昔も、きっとこれからも。 「あ、稲森じゃん」 稲森 明奈(イナモリ アキナ)。 私が、最も苦手とする人。そして、私の流した涙の原因。 人を嫌いたくはないけれど、仕方ない。彼女が嫌われるようなことをしてきたんだ。 会いたくなかった。千夜のいる時間を、壊されたくなかった。