「俺は笹道より.......」
両手をポケットにつっこんだ千夜が、照れくさそうに私に視線を一瞬だけ向けた。
「?」
なに?と言うように、私は首を傾げる。
千夜は「なんでもねぇ」と、聞き取れるか聞き取れないかくらいの声で呟いた。
『お前がいた方が、頑張れる』
小さく小さく聞こえた千夜の紡いだ声が、うっすらと聞こえた気がした。
たとえそれが私の幻聴だとしても、空耳だとしても、.....にやけてしまうよ。
「あれ?千夜くん!?」
でも、幸せな時間はあっという間。
聞きたくない声が、はっきりと耳に飛び込んできた。



