1人、涙を流したあの日のこと。
なんで今思い出したりするの?辛い経験が、私を不安にさせる。
ゾクッと、全身が震えた。この悪い予感が、当たらなければいいけど.....。
「荻原、帰ろうぜ」
「あ、うん。そうだね」
私は、するりと梨花ちゃんの手から自分の手を抜いた。うん、帰ろう。この不安から、逃げ出したい。
「バイバイ、梨花ちゃん」
私がそう言って背を向ける前。
「うん、またね。祈音ちゃん」
そう手を振りながら笑顔で言ってくれた梨花ちゃん。
なのに、なんだろう。笑顔だけど、笑顔じゃない気がするの。 裏に何かありそうな、そんな嘘つきの笑顔。



