「よいしょっと」

ありえないよね、と思っていると、フェンスがカシャンと音を立てた。
まさかと思い、視線を上げると、既に千夜がフェンスを登り始めていた。

「ちょ、だ、大丈夫なの!?」

心配になって、思わず声を上げる。

千夜は私の心配をよそに、ちゃっちゃとフェンスを登りきり、もうフェンスの奥のエリアへ進入していた。