ふいに目をそらして、元に戻す。 たった一瞬のことだったのに、それはそこにあった。さっきまではなかったのに、突然現れた。 「なにこれ...?」 思わず呟いた私の声は、私一人しかいない教室によく響く。 窓際の一番後ろの席。そこが私の席で、つい最近の席替えで手に入れた、とてもいい席。 そこには窓の外から差し込む夕焼けのオレンジと、私の影と、机の上にあるある物が重なっていた。 私はそのある物から目を離せない。