「ルイ様、お帰りなさいませ!!」

ヴァンパイアの手下どもが、すれ違いざま、私に次々とあいさつをしていく。

「ヴァン。なぜ、『あの者』を手にかけたのだ?」

『あの者』とは、言わずと知れた、『佳那汰』のことだった。

ヴァンは、眉をひそめることなく、無表情のまま、

「ルイ様の『命令』の『邪魔』をしましたので‥‥‥‥。」

そう答えた。

ルイは肩をすくめ、深く冷笑を浮かべると、

「私よりも、お前のほうが怖いな。」

そう言う。

「すべては、『ルイ様』のためです。」

そう言い切ったヴァンを、ルイはさらに深く冷笑を浮かべ、見つめると、

「信用してるぞ、ヴァン。」

そう言い、自分の部屋に向かって歩いて行った。

そんなルイに頭を深く下げ、見送ったヴァンは、頭を上げると、誰にも見せたことのない、微笑を浮かべた。