洋式のトイレの蓋を下ろして、 その上に座り込んだ。 「……はぁ…………」 ため息しか出ない。 あたしは何キスされるほど守りを浅くしていたんだ………… 「……忘れよう。 そして……音無君にはっきりと言おう」 トイレから出て、 観客席を見たとき。 黛さんが見えた。 目が合ってしまうのが嫌で 顔を伏せて走り出した。