ワイン祭ニ日目を迎えたノルディア王国の王都では、ギルト王国の国王を歓迎するパレードが行われる時間が迫っていた。

沿道にはすでにたくさんの人々が溢れ、パレードのスタートを今か今かと待ちわびている。

ノルディア国民の王室への人気は絶大で、その大きな理由のひとつが第一王子であるクリフォード王子の存在だ。

世界中の女性を虜にする美貌だけではなく、諸外国との外交によりノルディア王国に多大な利益をもたらしている。

未来の王位継承者として、国民から厚い信頼と期待を寄せられているクリフォードの影響力は大きい。

そしてこの日はクリフォードやノルディア王国の王家だけでなく、神秘の国といわれるギルト王国の若き国王がパレードに参加するとあって、いまだかつてない盛り上がりを見せていた。





城を出たリリーが王都の大通りに近づくにつれ、聞こえてくる歓声はどんどん大きくなっていた。

見つからなかったイヤリングのことで頭がいっぱいだったリリーも、パレードのことを思い出し、ふと足を止める。