野崎兄弟のThousand Leaves(あかねいろ Thousand Leaves!番外編)

有田さんが息を抑えている気配がした。


「ねぇ…何が気に入らないの?」

「気に入らないっつー…」

「私たち上手くやってきたじゃない?」

「それと結婚は違…」

「なんで今さらそんなこと言うの?私がどれだけユートくんのことを考えて、ここまで進めてきたと思ってるの?バカにしてるの?」

「だから…」

「いい加減すぎるよ…アナタは趣味の延長かもしれないけど、私は十代からこの世界で必死にやってきてるの!大会に出ていい成績取れば、それでいいなんていう世界じゃないの!イメージ!イメージで仕事もらってるの!」

「趣…」

「少しは私の立場を考えられない!?」


これって、オレも茜に言ったかも。

つーか、ぜんぜん話きいてくんねぇ。

一人でちょーーーーーーーー怒ってる。


「電話、切ってもいいっすか…?」

「待って…ねぇ考え直してよ…いまさら無理だよ」

「オレもムリっす。カノジョが…」

「リング…もうほとんど決まってるの…!もう六本木の会場だって、関係者の知りあいのお店でね、夜景がステキでカクテルパーティで、立食にはなるけど、ワインセラーもあるし…」

「オレの仲間バカなんで、そんなとこ行ったら荒らしますよ」

「だ、だから、それは別にしよ?ちゃんとプロ資格持ってる人か、ユートくんのスポンサーさんだけにして欲しい」


ムカつく。

マジでムカつく。

この人、なんなの?


自分のことしか考えてねぇじゃん。

一人でペラペラペラペラ…


だけど、オレってこういう時うまく言えねんだ。


あああああああああ!!

茜っ!

茜、助けてよ!