テーブルの周りに、みんなが集まり始めた。

「すっごい難しそーなのやってる!」

「ねぇねぇ!総史くんはカスのこと、どう思ってる?」


花純が慌てたように身を乗り出した。

「そ、そんなこと…!」


その瞬間、僕は見た。


花純が目を向けた先を。


そういうことか…


「花純は可愛いよ」

「うわっ!!うっ!本当にぃぃぃ!?」

「か、花純とか呼んじゃってる…」

「なんで?」

と僕は尋ねた。


「それ、だって、カスのこと…花純とか呼ばないでしょフツー」


このグループのフツーって何なんだ?


あっけに取られる周りを見渡しながら、淡々と申し渡した。


「まず小柄」

モデルの卵たちが眉を吊り上げた。


「声のボリュームがちょうどいいし、音質がキレイ」

自称シンガーソングライターの表情が曇った。


「口も鼻も小さくて可愛い。食べ方も可愛い。守りたくなる感じ?だから『花純』が穏当」

「わ、私ら別にカスってバカにして言ってるわけじゃ…」

「分かってるよ。僕にとっては、花純の方がフツーなだけ」


優斗が声を上げた。

「すげえ。さすが兄ちゃん。オトコだ!」


花純が体をビクつかせた。

僕はそれを横目で見ながら、コーヒーを飲みほした。


花純は、どうするつもりなのかな。

それ、見込みないぞ。

分かってるんだろうけど。