花純がため息をついた。


「いいな…そういう人は」

「マンガ、一生懸命読んでるじゃん」

「え!だって、マンガだもん」

「だけど、タイトルとか作者とか登場人物の名前とか覚えてるよな?」

「そ、そうなんだけど…」


入口が騒がしくなった。


「かすぅ!なに!?こんなとこに居たの!?」

「こっそり総史くんと会ってたの!?」


例のグループだ。

「総史くんに乗り換えた?」

「カッコイイもんね~。ユートみたいにアホの子じゃないしね」


優斗もいた。


「兄ちゃんはマジで特別だから!超優秀!空手だってすげーし」

「つーか、ユートが特別アホなんでしょー?」

「あ、そっか」

ぎゃっはっは!と笑い声が上がった。



「カスさぁ、総史くんの方が合ってる~」

「合ってる合ってる!」


いい加減な口調で女子が騒ぐ。


だけど、本当はいい加減じゃない。

妙にムキになってる。


仲良くしてるように見えるけど、底では優斗の奪い合い。


こわ。