家に帰ってから、「セントジョーンズワート」を調べた。


『セロトニンの分泌を促進することで知られ、
うつ病や自律神経失調症、不安神経症に対する効能が、医学的に認められている。
サプリメントとして手軽に入手可能だが、副作用もあり服用には十分な注意が必要』


危なっかしい感じの子だもんな。
医者にかかるほどじゃないけど、いかにもこういうのに頼ってそうな。


話についていけないって言ってたっけ。


優斗の取り巻きなんて、みんな芸能界に片足突っ込んでるみたいなのが多い。

なるほど…な。


端末を出して、花純に送った。

「もう遅いから心配。家に着いたら連絡して」


すぐに返信がきた。

「もう着きました!ありがとう」

「おやすみ」

「おやすみなさい」



次の日もミスドにいると、花純が入ってきた。

「こんばんは」

「ああ」

「あ、勉強。続けてください」

「うん。花純はなにか食べた?」

「…食べた。ママの料理、美味しいもん」


うちの食費がどんな事になってるのか…

父さん、客が好きだからな。


「わ、わたし、もう家に行くの止めようって思ってたんだけど…ツラくなったら、ここに来てもいいかな?」

「いいよ、もちろん。花純が来てくれたら嬉しいけど」

「…え!」

「なんでツライのに、家に行かないといけないかな」

「前日の夜までは、もう行かないでおこうと思うんだけど…その時間になって、みんなに呼ばれると、やっぱり出てきちゃう…」

「ふーん」

「みんなキラキラしてるよね。話の内容もサーフィンとか、雑誌の撮影の事とか、ブランドの事とか…一生懸命覚えようとしてるんだけど、頭に入ってこなくて」

「そんな無理に覚えなくても」

「総史くんは、どうしてそんなに覚えられるの?」

「覚えたら…もっと知りたいことが出てくるし、知りたくなるとやっぱ覚えるのが一番手っ取り早いし」