彼女に端末を返した。

お互いの端末が向かい合う。


― 安西 花純 Kasumi Anzai ―


「花純ちゃんて、呼んでいいの?」

「あ、みんな・・・」

「みんな?」

「カスって・・・」

「イジメ?」

「イ、…イジメじゃなくて!たぶん…イジメてる気はない…」


だけど、気に入ってもいない訳だな。


「…ちゃん付けも止めようかな」

「え、えええ?」

「花純って呼ぶ」

「あ、あの…」

「ダメ?」


花純が耳まで真っ赤になった。


「どうぞ」

「花純の家はどこ?」

「柿ノ木。自転車取に行かないと」


二人で立ち上がった。

トレイをまとめる。


「すみません」

「いいよ」


アタマ、小っさ。

女って、こんなん?