そのまま会話もなく、食事は終わった。


「僕、ちょっと課題やるけど・・・」

「あ、うん。気にしないで。私もマンガ持ってきた」



カバンからチラリとサプリメントらしきものが見えた。


―セントジョーンズワート―



なんだそれ?

課題に目を落としながら、後で調べてみようと思った。



10時になった。

目の前の女の子は、マンガに集中してる。

その顔をじっと見た。


単純に可愛い顔をしてる。

顔が小さくて、目がつぶらで、口がちょこんとついてて。

ちょっとタレ目で、締まりのない顔かもしれないけど、妙にそそる。



オトコ所帯だからな。

学校も3次元に興味ない女子ばっかりで。



女の子が目を上げた。

目線が合う。


戸惑ったように、女の子が口を開いた。

「あ、え・・・ごめんなさい。集中してた」

「もう。10時になるよ」

「え!うそっ」


慌てて自分の端末に手をやる。

端末が机から転がった。

僕の伸ばした手と彼女の手が重なった。


僕は彼女の端末を取り上げた。

彼女があっけに取られた顔で、僕を見ている。

「アドレス、交換して」

「え、あ…うん」