野崎兄弟のThousand Leaves(あかねいろ Thousand Leaves!番外編)

僕は自分の部屋へ案内した。

花純が戸惑ったように僕を見た。


「入って」

「は、初めて入るね」

「緊張してんの?」

「するよ、それは」


部屋に入ったとたん、後ろ手でカギを閉めた。


花純が驚いた顔で僕を見上げた。

それに構わず、花純を持ちあげた。

「きゃ!」

ベッドにおろして、唇を奪った。


「ま、待って…!」

「待てない」


手首をベッドに押し当てた。


「こんな…人のいるっ…!」


かまわず、唇をむさぼった。

唇から漏れる戸息に背筋がゾクゾクした。

腕の中にいる無力な存在に、全身の血が駆け巡った。


「待って…わわ、わたし!私、優斗が好きなのっ!!ごめん!本当にごめんなさいっ!!」


俺は笑った。


「知ってるよ」

「え…」


俺の下で、上気していた花純の顔が見る見る青白くなっていった。