【完】恋のおまじないNo.1

「そんな焦るなって。その通り、こーいう顔。別に怒ってねーよ…」



幾分落ち着いたのか、桃ちゃんの顔も穏やかになる。



「うん。宇佐美さんね、お昼休みは空き教室で過ごすんだけど、さっき空き教室に行ったら、男の先輩と一緒に部屋にいたの。ちょっと心配で…」



「男の先輩と?」



誰だろうな。



「おまじないするって言っても…男の子はそういうの興味ないよね?それを口実に近付いてるとしたら怖いなって」



そーいうのは、俺も思う。



ゆめはピュア過ぎて、疑うことを知らない。



しかも空き教室って、周りの目が届かないから危険だよな。



「一緒に来てもらえない?宇佐美さんが心配なの」



「教えてくれてありがとな。行こう」



桃ちゃんと歩くと目立ちそうだから、空き教室までは別々に行くことにした。



学校の中だしやばいことにはならないだろうけど、おかしなヤツがゆめに近付いてるのは確か。



俺はいつの間にか走りだしていた。