【完】恋のおまじないNo.1

昼休みになり、教室で弁当を食べた後購買に文房具を買いに行くことにした。



その途中、ちょうど1組の前を通っていると誰かに呼び止められた。



「桜庭くん!あのっ…」



遠慮がちに俺を見ているのは、昨日会ったばかりの桃ちゃんだ。



「桃ちゃんか、どした?」



「あっ…あたしの名前」



顔を真っ赤にして驚いている。



そんな赤くなるか?



こんなに男に免疫ないのに、チャラい紫藤を好きになるって大変だな。



つい苦笑してしまう。



「悪い、下の名前しか知らなくて」



「ううん、いいの。あのね、宇佐美さんのことなんだけど」



たくさんの人がいるところで、ゆめの話をされると困る。




俺がゆめと関わると、あいつに迷惑をかけることになるから。



昨日はつい紫藤にバラしたけど、できれば女子には知られたくない。



中学のとき、俺のせいでゆめは軽くイジメられてた。



本人が気付いてたかどうかは、わかんねぇけど。