【完】恋のおまじないNo.1

付き合うの、やっぱ断るつもりだったんだけど…逆に喜ばせてしまった。



こういうのって、手短にすませた方がいいのか?



「いや、ごめん。デートとかそんなんじゃねーの。ちょっと寄りたいとこあって」



「いいよ~。デートって言いたくないだけかぁ」



違う…そうじゃねぇ。



けど、こんな嬉しそうにされると正すこともできなくて。



やっぱ、気持ちがないのに付き合うって残酷だよな。



早いとこ、ケリつけるか…。



「あっ…」



中庭のど真ん中を歩く、ゆめを見つけた。



こんなにたくさんの人がいても、アイツを見つけられる自分に驚く。



しかも、ひとりだ。



紫藤と一緒じゃなくてホッとしていると、西内が一緒にのぞき込んでくる。



「どうしたの?誰か見つけた?」



「いや、別に。そしたら帰りな」



西内を置いて、先に教室に戻った。



ゆめ…紫藤と付き合うことになったとか言うなよな?



家に帰ったら、聞いてみるか。



どうしたって、俺の頭の中はゆめのことばっかだ。