「だけど西内さんだもんねー、美男美女カップル。太刀打ちできないわ」



「そう言ってたら、西内さん来たきた。桜庭くんのこと、めっちゃ見てる!わ、やば。こっち来るよ」



途端、女たちが話すのをやめた。



肩をポンポンと叩かれる。



顔をあげると、目の前に西内がいた。



「桜庭くん、おはよう。ちょっといいかな」



廊下へ連れ出され、教室と廊下を挟んで反対側にある窓枠にもたれる。



いつも俺からは、話さない。



たまにこーやって、西内の方から声をかけてきてそれに俺が応えるだけ。



俺らが廊下に立てば、クラスのヤツらがこっちを見て騒ぎだす。



あいつら、ほんと人の噂ばっかだな。



ウンザリしつつ、窓の外へ視線をやる。



ここからは、ちょうど中庭が見える。



登校中の生徒が昇降口の方へとたくさん流れていた。