【完】恋のおまじないNo.1

先輩たちと歩いていると、すれ違うみんなが驚いた顔であたしを見ている。



だよねぇ、タイプ違うもんね。



まるで連行されているかのよう。



あたしが悪いことしたんじゃないよ?



こんなに怖そうな顔の先輩だけど、おまじないを信じるなんてかわいいよね。



思わず顔が、ほころぶ。



「ゆめちゃんって、いつも楽しそうだな」



紫藤くんがあたしを見てヘラっと笑う。



「紫藤くんこそ。いつも笑顔だよね」



爽やか~。



「そんなことないけど。そうだ、昨日こんなの教室で見つけたんだけど、ゆめちゃんのだろ?」



手にしているのは、折り畳まれたメモ用紙。



手に取り、驚愕の表情のあたし。



「こっ、こここ、これは!」



桃ちゃんのライバルを減らすために、紫藤くんの名前を書いて飛ばした紙飛行機だ。



そうだよ、片付けて帰るの忘れててたんだ…。



「そんなに、俺のこと好きなの?」



勘違いされても仕方ないような、ハートの数。



名前の周りに書いたそれは、大好きですと言わんばかりに自己主張している。



「これはっ、違うの」