見れば、カズマがつまらなそうにしている。



「暇なら帰っていいよ?」



「あのな、それで喜んでどーする。友達にも、なれてねぇじゃん」



「それはそうだけど、嬉しいよねっ」



桃ちゃんを見ると、笑顔で頷いている。



「ふーん、そんなもんか」



そんなものなんです!



同じクラスならまだ話す機会もあるけど、違うクラスなんだよ?



言葉を交わせただけでもすごいよ。



「また、新しいおまじないを教えて欲しいの。今度は、紫藤くんと一緒に帰れるといいな」



わーっ、リクエストが大胆になった。



桃ちゃんが前向きになってくれて、すごく嬉しいよ。



「いいよ、とっておきのを伝授するね。あ、さっきね。ライバルを減らすおまじないをしておいたよ」



「本当に!?宇佐美さん、ありがとう~っ」



おまじないの本をカバンから出し、一緒に帰れる呪文を探す。