「ハンカチをこう…やったんだ?」



ハッ!



後ろからやってきたカズマが、うんざりした顔でハンカチを振るマネをしている。



「…っ!!桜庭くんが、どうしてここに」



カズマを見て、桃ちゃんがビビっている。



「そんなに怖がらなくて大丈夫。カズマはあぁ見えて優しいときもあるんだよ」



「怖がってるわけじゃ…紫藤くんと仲が良さそうだから、あたしの気持ちバレちゃったと思って…」



「そう思うよね。仲良くないんだってー」



桃ちゃんと話していると、カズマは面白くなさそうに突っ立っている。



つまんないんじゃなく、もともとそういう顔だっけ。



優しいときもあるから、普段からニコニコしてれば印象もいいのにね。



「仲いいとしても、言わねーよ」



ほらね、優しいんだ。



カズマがそう言うのを聞いて、桃ちゃんの表情が柔らいだ。