「誰か来たっ、桃ちゃんかな」



「見てやるよ」



ゆめから離れたいのもあって、ドアのすぐ側ににじり寄る。



すると背後からゆめが俺の背中にくっつき両手を置いた肩に、体重を乗せてきた。



お…おいっ。



「ねぇ。今通ったのって、桃ちゃんだった?」



「…………」



顔から火が出そうだ。



とてもじゃないけど、廊下の外を気にしてる場合じゃなかった。



「ねぇ、カズマ?」



「悪い…見えなかった」



「そっかぁ。あっ…なにか、話し声がしない?」



さっきまで静まり返っていた隣の教室から、男と女の話し声が聞こえる。



「あぁ」