【完】恋のおまじないNo.1

すると一生懸命顔を左右に振っている。




「ううん、紫藤くんは関係ないの…ちょっと友達とモメちゃって、それで」




そのぐらいであんなに泣くか?




疑問に思いながらも、桃ちゃんがそう言うなら信じるしかないよな。




「そか…あんま思い詰めないように」




「大丈夫だよ、もう平気。桜庭くんは?どうしてここにいるの」




「待ち合わせしててさ」




チラリと屋上の入口を見ると、海野が怖い顔をしてこっちを見つめている。




やば…。




「あっ…あたしお邪魔だよね」




「いや、そーいうわけじゃ…」




言い終わる前に、桃ちゃんは走って屋上を出ていった。




「桜庭くん、桃ちゃんとなんの話してたの?」




「あー…別に。ここにいたら、突然来て…うん、偶然」




「そうなんだ?親しそうに話してたよね。友達だったんだ?」




こ…怖ぇ。




まるで彼女のように、追求される。




海野と付き合ったら、ちょっと大変そうだななんて思ってしまうほど。