「とりあえず、おまじないだけ教えるから。毎日続けて?後でメッセージ送っておくね。今日は他のことで気を紛らせようよ」



さっきは感動した目の前に広がる絶景さえ、今はただの赤い壁でしかない。




情熱の、燃えるような赤…。



恋が生まれそうなこんな素敵な場所で、桃ちゃんにわざわざ伝えなくてもよかったよね。



元から、カズマは紫藤くんのことを良く思ってない。



きっと、なにか余計なことを言ったんだ。



あたしはそう確信していた。












家に着くなり、あたしはカズマの部屋に乗り込んでいった。



ガチャっと部屋のドアを開けると、制服姿のままカズマが寝転がっている。



「カズマ?起きてるよね」



近づき、顔をのぞき込む。



目を閉じていて、あたしの声に反応しないところを見ると…眠っているのかもしれない。