【完】恋のおまじないNo.1

「カズマも、顔に出ることあるんだな。その顔、相当やばい」



まずい…。



腕で顔を隠すと、ゲラゲラと腹を抱えて笑ってやがる。



「慌て過ぎ!ウソなのに!」



「フざけんのもいい加減にしろよ。来た。桃ちゃんのこと、頼むな」



気づけば、ゆめが女数人とこっちに向かって歩いてきていた。



全部で4…人か。



中には、桃ちゃんもいる。



ふたりが話している間、あの3人を俺が相手してればいい?



ゆめとふたりっきりになるのは、ムリそうだし諦めるか。



「わ~、偶然だね。紫藤くんだぁ」



ゆめが、白々しく声をかけてる。



しばらくして、紫藤と桃ちゃんが本堂の方へ消えた。



うまくやれよ?



泣かせるとか、なしだから。



「あのっ…桜庭くん。今日はひとりなの?」



気づけば、俺の横に知らない女がいた。



知らないつっても、同じ学校の制服を着ているし、多分ゆめと一緒に来た子なんだろうけど。



全く興味のない俺は、少し離れた場所にいるゆめの姿を目で追ってしまう。