「言いたい人には言わせておけばいいんだよ。それであたしたちが不幸になるわけじゃないもん」



「そうか?嫌な気持ちになるんだろ…」



「なったけど、すぐ切り替えるの。あたしには、おまじないがあるから。楽しい気持ちになれるおまじないとか、あるよ」



「おまじないって…どんだけガキなんだよ。だからバカにされんじゃん。そういう恥ずかしい趣味は、ひた隠しにする方が自然じゃねーの?」



ズキッ。



恥ずかしい趣味なんて…ひどいよ。



確かに幼稚かもしれないけど、あたしはおまじないがあるからハッピーになれるのに。



カズマにはバカにされてるって感じることもあったけど、恥ずかしい趣味なんて言われると結構キツイ。



「おまじないがどうっていうのを聞かされるのも、不愉快…だよね。ごめんね、帰る」



飲みかけのココアを置いたまま、急いで立ち上がってカズマの家を出た。



カズマは、非科学的なことを信じないタイプだ。



わかってたのに…。



それでも、やっぱり幼なじみだから…分かち合えるといいなって心のどこかで思っていた。