鈍感ちゃんと意地悪くんのその後の物語

「彼と行っても良いですか?」

ぶっ!

「ほら優斗、お父さんにも叱られてたでしょう?
もう高校生なんだから、そーゆーことしないの」

テーブルにこぼしたオレンジジュースを拭きながら、美空を睨む。
くそう、全てはこの鈍感天然娘のせいだ……。

「美空ちゃん、優斗と行きたいの?」

「はい、だって、楽しそうだし!」

きゃっきゃと話す母親と彼女を目の前に、俺はどうしろと?
もう、なんだっての。

「うちは全然良いんだけどね?
さすがにそちらのお母さんが、心配しないかしら……?」

だって、若い男女がふたりっきりなんて、ねぇ、と、困ったように母さんが笑う。

「あ、それなら大丈夫です」

え、大丈夫って、何が?