鈍感ちゃんと意地悪くんのその後の物語

渡りに船、と言えば、とんでもなくついているように聞こえるだろうが……。
当の本人が、このとおり、意識していない。

どうするんだよ、もし一緒に行ってイチャイチャしたいって言ったところで断られて、気まずくなったら。
俺は、大好きで可愛い美空とふたりっきりの状況で、平常心でいられない自信がある。

鈍感も大概にしろってんだ。
俺は、どうしたら良いんだ?

「美空ちゃ~ん! ついでに優斗!
今日はオレンジジュースよ~」

こんこんとノックをして、母さんが入ってきた。

「あ、こんにちは!
いつもありがとうございます!」

「いいのよ~! あら美空ちゃん、それ、なに?」

「さっき商店街で、当たりました」

手のチケットに興味を示した母さんに、美空はそれを手渡した。

「あら、温泉旅行!
いいわねぇ~」