鈍感ちゃんと意地悪くんのその後の物語

「で、俺は彼女が可愛くて仕方ないんです。
はぁ、店長、どうして俺に、客には恋人いること隠しとけ、なんて言うんでしょうね。
堂々と、彼女いますって言いたいのに」

「……。
売上に影響するからな」

瀬田がこんなに彼女を溺愛してるって知ったら、瀬田狙いのお客様は皆、どんな顔をするんだろうか。

「彼女いるんですか? 
ってお客様に聞かれるたびに、困るんですよ」

いないって言いたくないし、でも、隠しとけって言われてるし。
瀬田はぶつぶつ言いながら、ため息をついた。
グラスをかざして汚れていないかチェックしながら。

ため息をつく姿までかっこいいんだから、ずるいよなぁ。