鈍感ちゃんと意地悪くんのその後の物語

「お～い、母さん、頼まれた物、買ってきたよ～」

「あ、お帰り～！
ありがとうね～」

あぁ、もう部屋で二人きりになれる時間はなさそうだ。
兄貴に続いて、父さんまで帰ってきてしまった。

リビングに足を踏み入れた父さん。
美空を見て、一瞬足を止めた。

ふとノートから顔を上げた美空が、入口を見て慌てて立ち上がった。

「えと、こんばんは！
お邪魔しています！
今日はお夕食にお呼びくださり、ありがとうございます！」

ぺこりと頭を下げて上げたところで、父さんが笑った。

「いやぁ、可愛いお嬢さんだねぇ。
いやいや、こちらこそ急にお呼びだてしちゃってね、ごめんよ？
来てくれてありがとう」

あんまり可愛いからビックリしたよ～と言いながら、父さんはキッチンへ向かう。
買い物袋を母さんに渡している。
きっと中身は豆腐だろう。